
はじめに:LEDビジョンの普及と隠れた落とし穴
近年、店舗の看板や屋外広告、イベント会場などで広く活用されるようになった「LEDビジョン」。その鮮明な映像表現や省電力性能から、多くの企業が導入を進めています。しかし、意外と見落とされがちなのが“電気用品安全法(PSE法)”に基づく法的義務です。
「PSEマークが付いていない製品でも使えているから大丈夫だろう」
「海外から仕入れているけど、表示がなくても問題ないはず」
…といった認識のまま販売や設置を進めてしまうと、知らぬ間に重大な法律違反となり、高額な罰則や行政処分を受けるリスクがあります。
この記事では、LEDビジョンに関わるすべての事業者が知っておくべき「PSEマークの基礎知識」から、「違反時の罰則・リスク」、さらには「事故・行政処分の実例」までを、実務目線でわかりやすく解説します。
LEDビジョンはPSE対象製品?その理由と背景
LEDビジョンとは、LEDモジュールを組み合わせて映像を表示する大型ディスプレイのこと。多くの場合、AC電源から電力供給を受け、電源アダプターや制御基板などを内蔵しており、これらはPSE法で「特定電気用品」または「その他の電気用品」に分類されます。
つまり、LEDビジョンは単なる「表示装置」ではなく、法的には「電気機器」として扱われ、PSEマークの表示が義務付けられているのです。特に、電源部分が100V~240VのAC入力を受ける仕様であれば、完全に対象となります。
海外から輸入したLEDディスプレイをそのまま日本国内で販売・使用するケースでは、PSE認証を取得していないことが多く、これが違反の温床となっています。
PSEマークとは?|2種類のマークとその意味
PSE(Product Safety Electrical Appliance and Material)マークは、日本国内で販売される電気製品の安全性を示す法定表示です。以下の2種類が存在します。
- ひし形PSE(特定電気用品)
電気ストーブやヒーターなど、特に危険度の高い製品が対象。厳格な第三者検査機関による適合検査が必須です。 - 丸形PSE(その他の電気用品)
電源アダプターやモニターなど、一般的な電気製品が対象。製造者・輸入者による自己確認と届出が必要。
LEDビジョンに含まれる電源ユニットや制御回路は、基本的に**「丸形PSE」対象**。したがって、輸入販売業者や施工業者が、自社名義で届出・記録保存を行い、適法な形でPSEマークを表示する義務があります。
違反した場合のリスクとは?|重大な法的責任と社会的影響
1. 刑事罰が科される可能性
PSE法に違反して電気用品を販売・陳列・輸入した場合、以下のような重い刑罰が科されます。
- 個人:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 法人:最大1億円以下の罰金
また、届出の虚偽記載や無届け販売などは、30万円以下の罰金や過料も対象となります(電気用品安全法 第57~60条)。
2. 事故発生時の民事責任
PSE未取得の製品が原因で火災や感電などの事故が発生した場合、損害賠償責任やリコール、社会的批判が避けられません。仮に事故が発生しなくても、通報や行政指導で販売停止・回収命令が下されるケースもあります。
3. 信頼の喪失とビジネスへの打撃
PSE違反が発覚すれば、ECモールでの商品削除、アカウント停止、報道による社会的批判など、企業イメージの致命的失墜を招く恐れがあります。BtoBビジネスにおいては、自治体や大手企業との契約打ち切りなどにも直結しかねません。
実際にあった違反事例|LED製品販売会社の行政処分
ある大手ホームセンターでは、PSEマークのないLED照明器具を1,000点以上販売したことが発覚し、経済産業省からの行政指導と回収命令を受けました。この企業は本来、輸入者としてPSE適合確認・表示の義務を負っていたにもかかわらず、適正な確認を怠っていたことが原因です。
このようなケースでは、違反の規模や悪質性に応じて、企業名の公表、罰金、回収命令、最悪の場合は刑事告発へと発展する可能性もあるため注意が必要です。
よくある誤解と見落とし
「低電圧だからPSEは不要」は危険な誤解
確かに、DC5VやUSB給電のみで動作する製品はPSE対象外の場合もあります。しかし、LEDビジョンの場合、内部にAC100V→DCへの変換ユニット(アダプター)が含まれていることが多く、この部分がPSE対象です。
したがって、「ディスプレイ本体は低電圧だから対象外」と判断しても、アダプターや制御ユニットの部分が未適合であれば全体として違法となるリスクがあるのです。
安全確保のためにやるべきこと
LEDビジョンを扱う事業者(販売・施工・輸入含む)は、以下の対応を徹底することが不可欠です。
- 正規の仕入ルートを利用
信頼ある国内代理店やPSE認証済の製品を選定。 - 輸入時は自社名義でのPSE届出が必要
輸入者が「表示者」となる責任を自覚し、経産省への届出・記録保存を行う。 - 検査記録・技術基準適合確認書の保管
万が一の行政調査に備え、製品ごとの検査データを保管する。 - 販売サイト・カタログにPSEマークと表示者名を明記
消費者や発注者が確認できるよう、情報を正確に掲載。
まとめ:PSE違反は「知らなかった」では済まされない
LEDビジョンはその構造上、PSE法の対象製品であり、適法な手続きと表示が不可欠です。「知らなかった」「仕入先に任せていた」では通用せず、違反が発覚すれば事業停止や罰金など、深刻な影響を受けかねません。
LED関連事業者が今後も信頼と安全を提供し続けるためには、PSE対応を製品選定・販売戦略の最上位に置くべきです。品質と法令遵守を両立させることが、企業の持続的成長に不可欠な条件となっています。
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