
日本国内で家電製品や電気用品を販売する際には、必ず電気用品安全法(以下、PSE法)に基づくPSEマークの表示義務が課されます。特に、他社ブランド向けに製造するOEM製品の場合、責任の所在や手続きの取り扱いが一般的な自社製品とは異なるため、注意が必要です。本記事では、OEM製品におけるPSE表示義務の基本的な考え方、法的責任、実務上の注意点を詳しく解説します。
1. PSE表示義務の基本
PSE表示は、電気用品安全法に適合した製品であることを消費者に示すためのマークです。国内で販売される電気用品のほとんどは、PSE表示が義務付けられており、違反した場合は罰則の対象となります。
PSEマークには2種類あります。
- 菱形PSEマーク:特定電気用品(例:電子レンジ、電気ストーブなど)に必要
- 丸形PSEマーク:特定電気用品以外の一般電気用品に必要
OEM製品であっても、日本市場で販売される場合は基本的にPSE表示が求められます。ただし、製造者と販売者の関係によって責任の所在や手続きが変わる点が重要です。
2. OEM製品とPSE表示義務の関係
OEM製品とは、他社ブランド向けに製造された製品のことを指します。多くの場合、製造者とブランド(販売者)は別会社です。そのため、PSE表示義務をどちらが負うかが問題になります。
2-1. 法的責任者の定義
電気用品安全法では、販売者もしくは輸入者がPSEマーク表示の責任者とされています。つまり、OEM製品を自社ブランドで販売する場合は、自社がPSE表示義務者となります。一方で、製造元は国内での販売義務者ではないため、法律上は表示義務の責任を直接負いません。
しかし、製造者から提供される情報や試験データが不十分な場合、販売者が責任を負えない事態になる可能性があるため、OEM契約段階で確認しておくことが不可欠です。
2-2. 製造者の提供情報
OEM契約において、製造者から次の情報を受け取ることが望ましいです。
- 電気用品安全法適合証明書(適合性評価の結果)
- 製品仕様書および安全試験報告書
- 使用上の注意事項や保守情報
これらの情報は、販売者が自社ブランドでPSE表示を行うための根拠となります。
3. PSE表示に関する具体的な手続き
OEM製品を国内で販売する場合、PSEマークの表示だけでなく、適合性確認や登録手続きも必要です。特定電気用品の場合は、**経済産業大臣による認証(PSE特定電気用品認証)**が必須です。
3-1. 特定電気用品の場合
特定電気用品に該当する場合、以下の手順が必要です。
- 製造者から試験データを受け取る
- 認定試験機関(第三者機関)で適合性を確認
- 経済産業大臣によるPSE認証を取得
- 認証番号を表示して販売
3-2. 一般電気用品の場合
一般電気用品では、自己確認によるPSE表示が可能です。OEM製品でも、販売者が製造者から提供された試験データをもとに、適合性を確認してPSEマークを表示できます。
4. OEM製品における注意点
OEM製品を販売する際には、次の点に注意する必要があります。
4-1. 表示ミスのリスク
PSEマークは、表示位置、サイズ、形状が法律で定められています。誤った表示は違反となり、罰則や回収対象になる可能性があります。
4-2. 契約書での責任明確化
OEM契約書には、PSE表示に関する責任分担を明確にしておくことが重要です。具体的には以下を含めることが望ましいです。
- 試験データの提供義務
- 表示方法の確認責任
- 違反が発覚した場合の責任分担
4-3. 製品仕様の変更への対応
OEM製品は、仕様変更があるとPSE適合に影響する場合があります。販売者は、仕様変更があった際に再試験や再確認を行う体制を整えておく必要があります。
4-4. 海外製造品の取り扱い
海外のOEMメーカーから輸入する場合は、日本のPSE基準に合致しているかを必ず確認してください。特に、認証書の偽造や試験方法の不適合が発生すると、販売者が法的責任を負うことになります。
5. 実務上のポイント
OEM製品を安全かつ法的に適合させるためには、以下の実務ポイントが重要です。
- 契約時点でPSE情報の提供を義務化
- 表示デザインと位置を社内チェック
- 仕様変更時の再評価ルールを整備
- 海外製造の場合は輸入時点で適合確認
- 万が一の回収やトラブルに備えた体制構築
これらを徹底することで、販売者としての法的リスクを最小限に抑えることができます。
6. まとめ
OEM製品におけるPSE表示義務は、一見単純に見えますが、製造者と販売者の責任分担、手続きの透明性、表示の正確性など、実務上の注意点が多く存在します。販売者としては、契約段階からPSE表示に関するルールを明確にし、適合性確認の体制を整えることが不可欠です。
安全で信頼性の高い製品を市場に届けるためには、PSE表示は単なる形式的な義務ではなく、消費者保護と企業責任の両方を担保する重要な手段であることを理解しておきましょう。
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