~現場の実務・施工・安全管理で失敗しないために~
屋外でのデジタルサイネージやLEDディスプレイを設置する際、施工担当者や現場管理者が必ずチェックすべき項目のひとつが「IP等級(防水・防塵性能)」です。この規格を正しく理解せずに導入すると、故障や安全リスクの原因になり、最悪の場合は施工不良として大きな損害に発展することもあります。
本記事では、IP等級の基本から、実際の現場における選定ポイント、施工や安全管理上の注意点まで、実務的な視点で解説します。

IP等級とは?その基本をおさらい
IP等級(International Protection)とは、電気機器などが粉塵や水の侵入に対してどの程度保護されているかを示す国際的な規格(IEC 60529)です。
IPコードは「IPXY」という形式で表記されます。
- X(第1記号):固形物(粉塵)に対する保護レベル(0〜6)
- Y(第2記号):水の侵入に対する保護レベル(0〜8)
たとえば、「IP65」の場合は「完全な防塵構造で、あらゆる方向からのノズル噴水にも耐える」ことを意味します。
実務でよく使われるIP等級とその用途例
IP等級 | 特徴 | 主な使用シーン(デジタルサイネージ/LED) |
---|---|---|
IP20 | 最低限の固形物保護、非防水 | 屋内LED看板、工場内パネル |
IP44 | 雨がかかってもOK | 半屋外のデジタルサイネージ |
IP65 | 防塵&防噴流 | 屋外LEDビジョン、駅構内 |
IP67 | 完全防塵+一時的な浸水OK | 雨ざらしの屋外看板、工事現場 |
IP68 | 長時間の水没にも対応 | 特殊な水中用途、トンネルLEDなど |
現場での選定ポイント:屋内外の環境に注意
実務レベルでは、単に「IP等級が高いから安心」と考えるのは危険です。実際の施工現場では、以下のような観点から等級を選ぶ必要があります。
1. 設置場所の気象条件
- 屋外であっても屋根の下であればIP44で十分なケースもあります。
- 海沿いでは塩害対策も必要となるため、IP65以上+防錆処理が必要。
2. 人の導線と接触リスク
- 人が触れる可能性のある場所には、感電や事故を防ぐ意味でも高いIP等級が望ましい。
3. 配線・接続部の処理
- LEDやデジタルサイネージ機器本体はIP65でも、配線部がIP20であれば意味がありません。
- ケーブルグランド、コンジット、ボックス内の結露対策まで含めた安全管理が求められます。
現場施工・安全管理上の注意点
● 防水施工の盲点
高いIP等級を持つ製品でも、施工時の防水処理が甘ければ水が侵入することがあります。特に以下は注意が必要です。
- パッキンの締め付け不足
- シーリングの経年劣化
- 設置面の勾配不足で水たまりが発生
これらは全て、現場の施工品質に依存する部分です。
● メンテナンス性とのバランス
IP68のような高等級は密閉性が高いため、内部点検や修理がしにくいというデメリットもあります。定期的なメンテナンスが想定される場合は、あえてIP65程度で止め、防水カバーや外部筐体との組み合わせで対応するケースもあります。
IP等級とLED・デジタルサイネージのトレンド
最近では、屋外デジタルサイネージの普及に伴い、IP65以上の防水・防塵性能を持ったLEDディスプレイが標準になりつつあります。
特に駅前、商業施設のエントランス、イベントスペースでは、
- 長時間の連続運転
- 豪雨や突風への耐性
- 保守コストの削減
といった観点から、IP66〜IP67のLEDビジョンが多数採用されています。
また、最新のLED製品では、基板に撥水ナノコーティングを施すなど、IP等級に頼らない補助的な防水手段も進化しています。
適切なIP等級の選定は「安全管理」の第一歩
防水・防塵対策=安全対策です。
現場で発生するトラブルの多くは、「設置環境に合わない機器選定」や「IP等級の理解不足」に起因しています。現場監督者や設備担当者は、施工時だけでなく、運用後の安全性まで考慮した等級選定を行うことが重要です。
まとめ:IP等級を「数値」ではなく「現場目線」で読む
- IP等級は数字だけでなく、設置場所の環境・目的・施工方法によって最適解が異なる
- デジタルサイネージやLEDを扱う現場では、IP65以上が標準的
- 実務・施工・安全管理の知識がなければ、高性能な製品も宝の持ち腐れになる
- 最終的な選定は、「現場で何が起こりうるか?」を想像できるプロの視点が必要
この記事が、これから屋外LEDやデジタルサイネージの導入を検討している企業担当者様や現場責任者の方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。IP等級を正しく理解し、安全で確実な施工につなげていきましょう。
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